残念ながら、予防的に脳ドックを受ける方は非常に少ないのが現状です。人間ドックを受ける方は増えていますが、その中には脳のMRA検査が含まれているメニューはほとんどありません。大きな病院でも脳の検査はCTだけで行われることが一般的なんです。脳を詳しく調べるためには、MRIとMRAという2つの検査が重要で、特にMRAは脳の血管を調べるもので、くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤が見つかったり、脳梗塞の原因となる血管狭窄を発見することができます。これによって、深刻な問題が起きる前に予防策を講じることが可能になるのです。「人間ドックを受けたから安心」と思われる方も多いですが、脳の検査が含まれていないことがほとんどだということを、もっと多くの方に知ってもらいたいですね。脳ドックを受けることで、命に関わるリスクを減らすことができます。きちんと調べておけば防げることがあるのに、それを知らないまま、ある日突然人生が大きく変わってしまうなんてもったいないですよね。だからこそ、健康な方でも脳ドックを受診してほしいと強く思っています。
アスリートだからといって、脳に何ら異常がないとは限りません。普段から運動をしていて、自分は健康だと思っていても、脳の健康状態は目に見えず、無症状のことも多いのです。脳と心臓は突然死のリスクが高いので、アスリートの方には“自分の身体を知る”という意味でも、ぜひ脳ドックを受診してもらいたいですね。脳の状態には先天的な要因や遺伝も影響するので、高血圧などの既往がない人でも異常が見つかることがあります。実際、当院へ緊急搬送されてくる患者さんは、それまで健康だった方がほとんどです。また、30年前には50歳以下で脳血管障害を発症する方はほとんどいませんでしたが、今では30代40代の患者さんも珍しくありません。低年齢化が進んでいることを、私たちは現場で強く実感しています。「若いから大丈夫」という考え方は、もはや通用しない時代になっているんです。その要因のひとつは、現代社会のストレス環境だと思います。昔はインターネットもスマホもなく、24時間営業のコンビニやファミレスもありませんでした。そのため、生活が不規則になることが少なく、規則正しい生活を送れていた人が多かったんです。今ではスマホやSNS、動画視聴、乱れた食生活といった新しいストレス要因が少しずつ血管に負荷をかけ、脳疾患の低年齢化につながっているのだと思います。私は、特に40歳を超えたら一度は脳ドックを受けておくべきだと考えます。たとえ健康に自信があっても、脳は調べてみないとわからないことが多いですからね。
脳の中でも比較的太い血管は検査で確認できますが、脳の奥深くにある細い血管は、細かすぎて見ることができません。この細い血管に関しては、血圧、糖尿、コレステロール、タバコ、お酒など、日常生活での注意が必要です。そのため生活習慣を整えることは、脳の健康維持において非常に大切なポイントとなります。一方で、太い血管に関しては検査でほぼ完全に確認が可能です。例えば、くも膜下出血のリスクはMRA検査で97~98%の精度でわかります。また、血管が詰まりかけているかどうか、あるいは脳動脈瘤があるかも確認できるため、脳卒中の予防には非常に効果的です。検査結果に異常がなければ、2~3年に一度の頻度で受診すれば十分だと思いますよ。もしアスリートの方で脳動脈瘤などが見つかった場合でも、治療をすればその後は特に制限なく活動を続けられます。血管の病気は基本的に良性であることが多く、治療が終われば退院した翌日から普段通りの生活に戻れるケースがほとんどです。競技を長く続けるためにも、見えないところの健康にも目を向けてもらいたいですね。
私は今でも週に3回手術を執刀しています。頭の手術は、1mmのミスが命取りになる世界です。そんな緊張感のある手術を1日に何度もこなすのは、正直かなりのストレスがかかります。私は院長、脳外科医、医療法人の理事長という3つの役割を兼任していますが、その中でも最も神経を使うのは手術です。それでも手術を続ける理由はとてもシンプルで、患者さんから「先生、ありがとう」と喜んでもらうこと。それが最大のモチベーションになっています。綺麗事だと思われるかもしれませんが、本当にそれがすべてなんです。無事に手術を終えた患者さんが、「先生にお願いして本当に良かった」と言いながら笑顔で帰っていく。そういう瞬間に立ち会うと、それまでの疲れやストレスがすべて吹き飛ぶんですよ。昔からずっと人に喜んでもらうことが好きで、その「ありがとう」の言葉が、今でも私の原動力になっていますね。
病院に限らずどんな場所でも、良いことをしていれば自然と人は集まるものだと思っています。病院は、医療の質とホスピタリティがしっかりしていれば、必ず患者さんは来てくれる。だからまずは利益のことよりも、なぜ患者さんが減っているのか、その原因を真剣に考えましたね。根本的なところが改善されていなければ、どんなに集客の作戦を練っても無駄なんです。患者さんが来てくれるような病院づくりを徹底する、それだけなんですよ。私が病院でいつもスタッフに伝えていることは4つあります。笑顔を大切にすること、地味な仕事を大切にすること。そして、医師や看護師、社歴等関係なく、ここで働く全員が病院のブランドを背負っている自覚を持ち、チーム一丸となって協力し合うこと。最後は病院の理念でもある「患者さんの満足と安心を第一に」。この4つを、何度も何度もしつこく言い続けています。これらが病院を支えるすべての基本であり、それを実行することで、患者さんの信頼と笑顔を集めることができると思うからです。
組織を良くするためには、どうしてもスタッフに一定の負荷をかける必要があります。その負荷をできるだけ感じさせないように、当たり前とされるスタンダードを少しずつ引き上げるようにしていますね。この病院の業績が上がれば、病院の評判も上がり、働いているスタッフ個人も社会人としてのレベルが上がります。それが各々の武器となり、キャリア形成の一環として、この病院を“踏み台”にしてくれても構わないと思っているんです。私が果たすべき役割の一つは、この病院で働いていたことが彼らにとってのブランドになるようにすることです。次に行く施設で「この人が来てくれて本当によかった」と思ってもらえるような人材に育てる。それを私は目指しています。人間には誰しも承認欲求がありますよね。「君がいてくれて助かった」「君がいてよかった」と言われたいという気持ちは人間の根幹にあるもので、それがモチベーションになります。ここで働くスタッフには、どこへ行っても必要とされ、誇りを持って生き生きと働ける人になってほしいと思っています。
40代の頃と比べると、トレーニング時間はかなり減りましたね。今ではもうタイムや入賞を狙うのは難しいので、レースに出る際は完走を目標にしています。仕事だけをしていると、体が硬くなったり代謝が悪くなったりするので、どれだけ忙しくても、体を動かす習慣は必要です。レースがあれば、さすがにまったく練習しないわけにはいかないので「少しでも体を動かしておこう」と思って、運動習慣を維持できるんですよね。やっぱりトレーニングやレース出場は、健康維持のためのモチベーションになっていると思いますよ。
普段仕事での私は、院長という立場でスタッフや患者さんから慕ってもらう機会が多いです。また、若い世代のスタッフと比べると恵まれた環境で生活していると思います。そうした中でふと、自分の本質が甘やかされ、弱くなっているのではないかと思うことがあるんです。院長ではない、理事長でもない素の自分は、過酷な環境でどれだけやれるだろうと。だから年に一度過酷な環境に身を置いて、一人の人間として自分自身を試してみるんです。砂漠での1週間は本当に厳しいもので、暑さや寒さ、足の状態、日焼け、お腹の調子など、すべてセルフマネジメントしなければなりません。環境に合わせて自分を調整し、フィジカル面でも耐え抜く力を発揮する。そうした“メンタル・環境への適応力・身体能力”の3つが揃って初めて乗り越えられる挑戦です。今の自分にそれがどこまで可能なのか、自分の強みや弱みを再認識することが、挑戦の一つの目的ですね。レース中は太陽が沈んだら寝て、明るくなったら起きて、食事をして、ひたすら歩いたり走ったりしているだけで、他のことを考える余裕がなくなります。次の中継地点のことだけを考えて過ごすんです。スマホも使えず、強制的に電気機器の断捨離をして。原始的な生活は不便で辛いですが、ゴールにたどり着いたときの喜びは何物にも代えがたいものがありますね。砂漠で見る、汚れのない夕日や満点の星空、日常では絶対に見ることができない景色が見られるのも最高です。そしてもちろん、完走した後に仲間と一緒に達成感を分かち合うことも大きな楽しみになっています。
大学時代ヨット部に所属していたくらい、私はヨットが大好きなんです。以前、ヨットで世界各地を訪れている人とたまたま知り合う機会があり、ここ数年はその方に誘われて地中海セーリングに参加させてもらっています。毎年2週間ほどの期間ですが、その体験は想像以上に素晴らしくて、いつか自分でも地中海の町々をヨットで移動するようなセーリングをしたいという夢ができました。そのために、まずは60歳までにヨットを安全に操船できる技術を身につけたいと思っています。歳を重ねても、ヨットと山登りはずっと続けていきたいですね。自然の中で過ごすといろんなことに気を配らなければならないので、頭も使いますし、体もずっと元気でいられると思うんです。いいメンバーと自然の中で遊ぶというだけで、ものすごい充足感が味わえる。そういう幸せな時間を、これからもっと多く作っていきたいです。私が人生で大切にしたいのは、《健康》と《いい人たちとの繋がり》この2つです。それが私が幸せな人生を送るために必要な要素だと思っています。
仕事面では60歳までに脳外科医としての手術を全うし、その後は手術以外で高齢化社会に対応できる医療を作っていきたいと思っています。具体的には、健康に関わる予防のクリニックや訪問看護、訪問リハビリ、認知症センター、栄養センターなどの分野に取り組んでいきたいですね。自分一人でやるのではなく、専門家と協力し合ったり、私自身も初心に立ち返って新たな知識を学びながら進めていくのも面白いのではと考えています。社会に本当に役立つことをして、世の中に貢献していきたいですね。最後はそういった自分の考えに賛同し、患者さんのために力を尽くしたいと思ってくれる人たちと一緒に働けたら最高です。自分の人生の最終ステージは、いいメンバーと共に、いい組織を作り上げることに力を注ぎたいと思っています。
私は人生におけるリスクというのは、健康でしかないと思っています。正直なところ、健康でさえあればリスクはそんなにないと言い切ってもいい。私は普段、好きなことをやって生きていますが、それにはまず健康であることが大前提です。私はこれまで医師として、患者さんの人生がある日突然一瞬にして変わってしまうのを何度も目の当たりにしてきました。検査を受けていればわかったこと、防げたことがたくさんあります。たった一度しかない人生です。やりたいことに挑戦できず、後悔を残してほしくありません。健康でいることは、夢を叶えること。自分らしい人生を送るために、自身の健康について見つめ直し、予防としての脳ドックを受診される方が一人でも増えることを願っています。
疲労回復や二日酔い対策に効果を実感しています。私は毎晩寝る前に3粒飲むのを習慣にしているんですが、たまに忘れてしまうこともありますね(笑)。また、お酒を飲んだ日の夜には、帰宅後すぐに3粒飲むのがおすすめです。これを実践すると、翌朝の目覚めがすっきりして、二日酔いの症状を軽減できると感じています。特にお酒を飲むとつい忘れてしまいがちですが、習慣化することでより効果を実感しやすくなるのではないでしょうか。日々のケアを続けることで、より快適な毎日をサポートしてくれると思いますよ。
2024年 | For ranger Ultramarathon(Kenya 230km) 完走 |
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2018年 | 4 deserts Ultramarathon(Gobi March 250km)完走 |
2017年 | 4 deserts Ultramarathon(Namib Race 250km)完走 |
2016年 | IRONMAN Barcerona 完走 |
2015年 | IRONMAN Nice 完走 |
2013年 | IRONMAN Melbourne 完走 |