『夫婦でアイアンマンレースに出よう!』というのが、妻と描いた夢でした。もともと、自転車通勤の延長から私のほうが先にトライアスロンを始めたんですが、そんな私の姿を見て妻が「私も走ろうかな」とジョギングを始め、それがきっかけとなり、のちに妻もトライアスロンデビューを果たしました。
2012年、残暑がまだまだ厳しい9月。フランクフルトで開催されるアイアンマンレース* に夫婦揃って出場しようと、ロングライドをしていた時でした。妻が不慮の事故に遭い帰らぬ人になってしまったんです。『トライアスロンさえやらなければ』と、自分の中の時間だけが止まったまま何日も過ごしました。そんな私を励ましてくれたのは、当時、小学6年生の娘と小学3年生の息子でした。事故から2週間、「お母さんの分まで頑張る!」と子どもたち二人が大磯のトライアスロン大会* に出場したんです。娘は妻のゴーグルとシューズを使ってフィニッシュ。「お母さんと一緒にゴールできた!」「次はお父さんの番だよ!」と二人に言われ励まされました。トライアスロンで愛する人を失いましたが、その闇の中で光明を見出してくれたのもまたトライアスロンでした。
* IRONMAN Frankfurt/Germany Swim:3.8km,Bike:180km,Run:42km
* 大磯ロングビーチ・ファミリートライアスロン
当時は小さかった子どもたちですが、今や娘が大学生、息子は高校3年生と、まさに独り立ちの時期を迎えました。
妻を亡くした当初、私は子どもたちに『これまでとなるべく同じ生活をさせよう』と決意したんです。だから、祖父母と一緒に住むとか、家政婦さんを頼むとか、これまでと生活環境が変わるようなことはしませんでした。そこで、私は“主夫”となり、母親の役目も担いました。”子どもたちが学校から帰ってきた時には必ず私が家に居る“、”外食の頻度は増やさない“など私なりのルールを自分に課し、今までと同じ生活環境を維持することを常に心がけていましたね。
全然なかったですよ。洗濯なんてやったこともありませんでしたし、料理だって自分一人が適当に食べるものとは違うので、料理本を片手に四苦八苦しながらやっていましたね(笑)。娘が通っていた学校は中学・高校と6年間お弁当だったので、お弁当作りも頑張りました。ちなみに、“キャラ弁”を作れるまでにスキルアップしましたよ(笑)。大変でしたが、私自身も楽しみながらやっていました。
仕事は公認会計士・税理士として会計・税務業務はもちろん、IPO支援やIR支援まで幅広くサポートするコンサルティング会社の代表をやっています。大学在籍時に公認会計士の資格を取得し、卒業後はIT企業でシステムエンジニアとして会計システムの開発をしていました。そこで経験を積み、25歳の時に起業しました。
妻が亡くなってからは、“私にしかできない仕事だけ”を請け負い、それ以外は後輩や知り合いに紹介するようにしました。究極の専門職に特化した、言わば“職人的”な仕事のやり方ですね。また、仕事ができる時間は子どもが学校に行っている間の数時間と限られていたため、仕事はお昼までしかできないことを顧客に了承してもらったうえで引き受けていました。私の仕事の価値はプロセスではなく結果。もちろん、限られた時間の中で最大限のパフォーマンスを発揮していましたよ。ちなみに、子どもたちはつい最近まで私を無職だと思っていたそうです(笑)。それぐらい時間を圧縮して行っています。
そうですね。2013年にはIRONMAN Japan* も完走しましたし、九十九里トライアスロンは2014年の第一回大会から連続して出ています。今年も5月に開催された横浜トライアスロン* を無事完走したので、コロナの影響を受けながらもトライアスロンを始めた2010年から毎年、連続完走記録を継続中です。
これまで私は子育てや家事をしながらも、自分のことを疎かにしないように心がけてきました。そこには、私自身がやりたいことを我慢して子どもたちと接することで、“私たちのせいでお父さんは夢を諦めたんだ”と子どもたちに変な気を遣わせたくないという想いがありました。だからこそ、私自身も精一杯楽しく生きることを大切にしています。『子どもたちのために自分を犠牲にしない』一見矛盾する価値観のように思えますが、これが私が大切にしてきた流儀のようなものですね。
* 2013~2015年に北海道洞爺湖で開催されたアイアンマンレース
Swim:3.8km,Bike:180km,Run:42km
* ITU世界トライアスロンシリーズ横浜大会
Swim:1.5km,Bike:40km,Run:10km
よくバイタリティーが人の何十倍もあるように思われがちですが、私も人間です。当然ながら疲れることも多々ありますよ。強いて言うなら、頑張り続けられる秘訣は“コントロールすること“ですかね。子育てや家事、仕事は頑張りすぎてもいけないですし、それはトライアスロンの練習も同じだと考えています。子育てや家事って、アイアンマンレースのような長距離レースに似ていると思うんですよね。頑張りすぎて潰れてしまうのではなく、上手にバランスをとりながら自分のペースで歩みを進めていく。そして、その状況を楽しむことも大事だと思っています。
スイムは週1回の朝スイム、バイクも週1回のロングライド、ランは空き時間を利用して、というのをベースにやっています。最近まで平日は毎朝お弁当作りがあったため、朝スイムは学校がない土曜日だけ、ロングライドは100km以内を基本に無理のない範囲で続けることに重きをおいてやっています。また、トレーニングは限界まで追い込むのではなく、淡々と続けられる強度で行うことも心がけています。実際、海を見ながらのロングライドは精神的なリフレッシュにもなっていますね。そのぐらい心地の良い強度で行っています。無理をしないからこそ、ずっと続けられているんだと思います。
夫婦でアイアンマンレースを完走することが、私たち夫婦の夢でした。トライアスロンがあったから夫婦の思い出をたくさん作れたと思っています。IRONMAN Japanもその一つですね。
大磯のトライアスロン大会で子どもたちに励まされチャレンジを再開した矢先、北海道洞爺湖でアイアンマンレースが開催されるという知らせが届きました。『これだ!』と思いましたね。そして、『妻のために走ろう』と決意しました。エントリーしてからレース本番まで準備期間は約半年。速くなくてもいい、とにかく完走することだけを目標にチャレンジしました。レースまでのトレーニングは先ほどお話した通り、無理のない範囲で淡々と。
レース本番が迫った8月初旬、発表されたスタートリストをチェックすると、私のレースナンバーは『422(よい夫婦)』。しかも、4月22日は私たち夫婦の結婚記念日。運命的なものを感じると同時に『絶対完走するぞ』と決意を新たにしました。
そして迎えたレース当日。底が見えそうなほど透き通った洞爺湖を気持ちよく泳ぎ、獲得標高が2300mという山岳コースをバイクでひた走りました。130km過ぎたあたりから続く長い登りがキツかったのを今でも覚えています。それでも何とか180kmのバイクパートをクリアし、残すは42kmのラン。その時点で体力は限界に達し、そこからは気力のみ。日が沈み、暗くなった湖畔の一本道を走っていた時、ふと目の前に見慣れた姿を見たんです。あれは、間違いなく妻の背中でした。真っ暗闇、冷たい雨が降る中、心が折れかけていた私を妻がそっと励ましてくれたのでしょう。何度も止まりかけた脚を引きずるようにしてやっと辿り着いたフィニッシュゲート。ゴールテープを掲げて完走した喜びに浸っていると、ゴールで選手を迎えてくれていた大会実行委員長の白戸太朗さんが「ふたりで完走したのだから、メダルはふたつないとだめでしょ」と、完走メダルをふたつ首にかけてくれました。私たち夫婦の夢が叶った瞬間でした。
そうですね。冬はスキー、それ以外のシーズンはゴルフもやっています。スキーもゴルフも子どもたちが幼い頃からずっと一緒にやっています。高校生の息子はスキー部でインターハイ出場を目指すまでの実力で、娘はホールインワンしちゃうぐらいの腕前です。今でこそ息子も大きくなったので、金曜日の夜、学校が終わると一人で夜行バスに乗って苗場に行き練習していますが、小・中学生だった頃は毎週末、朝スイムの後に私が連れて行っていました。もちろん、私も一緒にスキーを楽しんでいましたよ。ゴルフも同じように子どもたちと一緒に楽しんでいましたね。子どもたちが成長していくにつれ、一緒に過ごす時間は限られてくるので、その時々を大切にし、私自身も全力で楽しむようにしてきました。
ヴィッツレース* に参戦しています。もともと私自身が車好きというのもあるんですが、子どもと一緒にモータースポーツ・レースを観に行った時、前座レースでヴィッツレースをやっていたんです。それで、ヴィッツレースについて調べてみたらアマチュアでも参戦できるということを知り、子どもたちに「お父さん出てみようかな」と言ったら、「出よう!出よう!」と盛り上がって、それで始めたんです。
ヴィッツレースって、意外と奥が深いんですよ。車の性能に差がないので、ドライビングテクニックがとても重要なんです。やるからには、妥協せず真剣に楽しむのが私のモットーなので、自宅ガレージにシミュレーションセットを導入し、トライアスロン同様、空いた時間で練習を重ねています。つい先日も富士スピードウェイで開催されたレースで表彰台に乗りました。
* TGR Netz Cup Vitz Race/2000年のシリーズ開始から通算400戦が開催される歴史あるモータースポーツ・レース
子どもたちにとってカッコいい存在であり続けるということは意識しているかもしれませんね。男って、その人の生き様によってカッコよさって違うと思うんです。生まれ持った顔はどうしようもないですが、素敵な人生を送っている人ってどこか魅力的でカッコいいですよね。それと、子どもたちにとってのロールモデルであり続けたいとも思っています。私の教育方針では、言葉で伝えるのではなく“見せる”ことを大事にしています。なので、子どもたちに「〇〇しなさい」と言ったことはありません。全て彼らの自主性に任せています。最近になって、子どもたちも私が仕事をしていることにようやく気づきましたが、専門性が高い仕事やそのスキルの獲得方法などについて彼らなりに考えている様子を見ると父として誇らしいですね。こうして私がカッコいい存在であり続けられるのは子どもたちの存在があってこそ。だから、ふたりには本当に感謝しています。
雑誌か何かの記事で乾燥ナマコがイイらしいというのは知っていて、ちょうど探していて見つけたのがUTA SUPLIでした。商品開発者もトライアスリートということで、これはもう絶対イイはずだという確信めいたものがあり、購入しました。それで実際に試したら、私の直感は正しかったですね。普段サプリメントは一切飲まないのですが、UTA SUPLIは別です。週末の疲れが残らない感覚がありますし、何よりもお酒を飲んだ次の日はホント楽ですね。いつもなら残っちゃうだろうなという量を飲んだ時もUTA SUPLIを飲んでおけば平気だったりします。ずっと探していたものをついに見つけた!という感じです。これからも永く愛用していきたいアイテムですね。
2021年 | 横浜トライアスロン 完走 |
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2020年 | 九十九里トライアスロン 完走 |
2019年 | 横浜トライアスロン 完走 |
2018年 | 九十九里トライアスロン 完走 |
2017年 | 九十九里トライアスロン 完走 |
2016年 | 横浜トライアスロン 完走 |
2015年 | IRONMANセントレア 完走 |
2014年 | IRONMANセントレア 完走 |
2013年 | IRONMAN Japan 完走 |
2012年 | 宮古島トライアスロン 完走 |
2011年 | IRONMAN70.3セントレア 完走 |