そうなんです。現在の私を知る方は信じられないかもしれませんが。
うつ病と診断を受けたのは2011年10月ですので、約10年前のことになりますね。薬物療法と精神療法を要する中等症のうつ病と診断され、社会生活が一切できない“引きこもり”状態が半年以上続きました。社会復帰してからも1年近くは、“睡眠障害”や“食欲異常”、そして“死にたいと思う”などのうつ症状を克服できず、投薬治療が続きました。もちろん、今ではすっかり元気になり、完全に克服しています。
当時勤めていた会社を辞め、チャイナドリームを夢見て中国は深センで起業したことがそもそもの始まりでした。半年ほど準備を重ねての起業だったのですが、全くうまくいきませんでした。10年前の中国は経済発展の真っ只中にあり、“自分も中国に渡れば何かしらのチャンスを掴めるのではないか?”と、“ほぼ”勢いだけで乗り込んだのですが、やはり、そこは異国の地中国。商習慣も価値観も違えば、ましてや言葉も文化も違う。そんなこともわからず単身で飛び込んだ私は、見事返り討ちに合ってしまったんです。中国へ渡る前は『成功するまでは戻らない!』と豪語していた私でしたが、現地の病院で精神疾患の診断を受け、そのまま強制送還的に帰国することに。そして帰国後、日本の病院で再度精神科を受診すると中等症のうつ病と診断されました。
半年以上におよぶ自宅療養を経て再就職はできたものの、社会復帰してからの数ヶ月はキツかったですね。現実逃避するかのごとく仕事帰りはほぼ毎日パチンコ店へ入り浸り、不摂生な生活をしていました。そのせいか、投薬治療は続けていましたがうつ症状はあまり改善に向かいませんでした。そんな中、通院していた精神科クリニックの先生から運動療法を勧められジム通いを始めたんです。もともと大学時代にアメリカンフットボールをやっていたこともあって、すぐに身体を動かすことの楽しさを思い出すことができました。ジムでのトレーニングを続けることで不眠も改善され、食生活も見直すことができましたし、何よりも精神状態が安定するようになりましたね。また、不摂生な生活により太ってしまった身体が徐々に変化していくことに喜びを感じ、ますますトレーニングに没頭するように。すると、仕事に対してもどんどん前向きになっていったんです。あくまで私の経験談としてですが、私の場合、身体を動かすようになってから約半年後、精神科クリニックの先生の判断で投薬治療を卒業することができました。その時には、ピーク時90kgあった体重も65kgになっていました。
当時、私は医療機器メーカーでセールスの仕事をしていたのですが、たまたま訪れた病院の院長先生がIRONMAN * トライアスリートで、その院長先生に『宮崎のトライアスロン大会 * に一緒に行かない?』と誘われたのがきっかけです。院長室で先生が完走されたIRONMANレースのVTRを見せてもらったのですが、そのあまりの格好良さに衝撃を受け、自分もいつかそんな風になりたいと強く思いました。そして、ロードバイクすら持っていないにも関わらず、誘われたその日にエントリーしちゃいました(笑)。
* IRONMAN:Swim3.8km、Bike180km、Run42.1km
* 宮崎シーガイアトライアスロン大会
勢いでエントリーしたのが3月下旬頃。レースは7月初旬でした。デビュー戦まで約3ヶ月。とりあえず、まずはサイクリー * で中古のロードバイクを購入しました(笑)。バイクは週末だけの練習で何とかなりましたが、課題はスイムでした。最初はクロールで50m泳ぐのがやっとの状態。。。さすがにスイムは必死に練習しました。足をつかずに1,500mを泳ぎきれるようになったのは、レースの10日前ぐらいでしたね。
デビュー戦当日、不安だったスイムは何とか制限時間内にクリアし、青い空に白い雲が広がる宮崎シーガイアの海岸線をバイクで疾走し、最後はトライアスロンに誘ってくださった院長先生や仲間が待つゴールを目指してとにかく必死に走り続けました。ゴールにたどり着いたときの感動は今でも忘れられませんね。ゴールした瞬間、かつてうつ病で生きる苦しさを感じていたことが嘘だったかのように、生きる喜び、そして楽しさを改めて実感できた感覚は今でも鮮明に覚えています。
* サイクリー:中古自転車専門のチェーン店
宮崎でのデビュー戦以降、すっかりトライアスロンの魅力にハマってしまいました。その頃には、うつ症状は劇的に改善し、投薬治療も卒業していましたが、依然として自分に自信が持てない状況は続いていました。そんな中、IRONMAN Japan * を走るトライアスロン仲間を現地でサポートすることになり、IRONMANレースの雰囲気を直に体験する機会を得ました。そこで目にしたのは、多くの観客からハイタッチで祝福されながら、花道をゴールへと向かう輝かしいランナーの姿でした。まさに一人一人がヒーローでしたね。
自分もIRONMANレースを完走できたら、自信を取り戻せるかもしれない。こんな自分でもヒーローになれるかもしれない。完走したトライアスロン仲間を労いながら、そう思ったんです。そしてその翌年、私もIRONMAN Japanへ挑戦しました。
* IRONMAN Japan 2013年~2015年にかけて北海道・洞爺湖にて開催
IRONMANレースへの初チャレンジは16時間10分40秒で無事完走することができました。早朝6時にスタートし、ゴールに戻ってきたのが夜の10時過ぎ。ゆっくりでも、とにかく足を止めずに走り続けた先に見た景色は最高でしたね。ゴールへと続く花道は煌々とライトアップされ、その光の中をたくさんの観客から祝福を受けながら、喜びを噛み締めるように走りました。まさに、最高の瞬間でしたね。
レースに向けてトレーニングする中で、あるいはレース中であっても“何でこんな辛いことをやっているんだろう?”と思う瞬間がありますが、この困難こそが、大きな喜びにつながるんだということをIRONMANレースを完走して知りました。『自信を取り戻せたか?』と問われると、その答えは私自身まだよくわかりません。ただ、IRONMANレースを完走したことで、自分自身の人生が《再起動(=Reboot)》し始めたことは間違いありませんね。そして、何かに挑戦することの大切さと、その挑戦を続けることこそが人生を楽しむことにつながるということに気付かせてもらいましたね。
《挑戦し続けることは人生を豊かにする》ということを、私はトライアスロンを通して身をもって実感しました。そこで、何かに挑戦し続ける人が増えれば社会はより良い方向に向かうのではないか?と考えるようになったんです。極端な話ですが、80歳で3度目のエベレスト登頂を果たされた三浦雄一郎さんや、88歳にして現役IRONMANトライアスリートでいらっしゃる稲田弘さんのような方が日本中に溢れれば、超高齢化社会であっても経済は回りますし、ひいては医療費削減にもつながると思うんですよね。そのような社会の実現に自分も貢献したいと思っていました。
そんな時ナマコの養殖業者さんと出会い、ナマコが古くから滋養強壮や疲労回復、美容目的で重宝されてきたことや、乾燥ナマコが持つ脅威のアミノ酸成分について知りました。実際に私自身やトライアスロン仲間が数ヶ月に渡り、乾燥ナマコ粉末を継続摂取したところ、驚くほど疲労回復やアルコール分解の効果を実感できました。そこで、この乾燥ナマコ粉末を活用した商品をプロデュースし世の中に広めながら、《挑戦し続けることは人生を豊かにする》というメッセージを発信し続けることができれば、先程お話したより良い社会の実現に少しでも貢献できるのではないかと思い、2度目の起業にチャレンジしました。
何かを挑戦し続けるうえでの天敵は“疲労”だと私は考えています。多くの市民アスリートにとって、日々の仕事や家庭生活とトレーニングの両立は大きな課題になっていますよね。レースが迫ってくると、トレーニングの強度も上がり、特に週末はハードトレーニングで追い込んだりしますよね。そうすると、月曜日の朝、疲れが取れず仕事に行きたくない、身が入らない、なんて経験ありませんか。週末にハードトレーニングしたことを後悔し、そしてその度に挑戦することを諦めようかと考えてしまう方も多いのではないでしょうか。実際に私もかつてはそうでしたし、私のトライアスロン仲間にも、仕事とトレーニングの両立ができず挑戦を諦めざるを得なかった方が何人もいます。でも、それってすごくもったいないことだと思うんですよね。だからこそ、私はReboot Styleが取り扱う商品やサービスを通して、この世から“Give up”という言葉を無くすべく、挑戦し続けるすべての方をサポートしていきたいと考えています。
Reboot Styleの事業を正式に立ち上げたのが、まさにコロナ禍直前の2020年2月。新型コロナウィルス感染症の影響がこれ程までになるとは想像していませんでしたし、今後についても現段階ではまだ読みきれないというのが正直なところですね。
元プロ野球選手の松井秀喜さんは次のように語っています。
《自分にコントロールできないことは、一切考えない。考えても仕方ないことだから。自分にできることだけに集中するだけです》と。
私も同感です。
トライアスロンレースでも予想外の悪天候やアクシデントはつきものですが、それも自分ではコントロールできないことですよね。それはこのコロナ禍においても同じ。今できることは何かを考え実行する、ただそれだけです。
ですので、今後について言えるとすれば、私も挑戦し続ける一人として《マイペースにとにかく自分自身が掲げた目標に対して歩みを止めない》ということでしょうか。丑年ですしね(笑)!ゆっくりでも着実に一歩一歩前進していきたいと思います。
人生をとことん楽しむこと。
それは、チャレンジし続けることだと、私たちは考えます。
チャレンジすることに制限はありません。
年齢、性別、境遇などを超えた「あなた」のチャレンジをサポートしたい。
明日という日が、あなたにとって新鮮な一日となりますように。
2020年 | IRONMAN70.3 Japan 完走 |
---|---|
2019年 | IRONMAN Gurye Korea DNS(台風直撃による中止) |
IRONMAN Carins 完走 | |
2018年 | IRONMAN Malaysia 完走 |
2017年 | IRONMAN70.3 Hawaii 完走 |
2016年 | IRONMAN Taiwan 完走 |
IRONMAN70.3 Bintang 完走 | |
2015年 | IRONMAN Japan 完走 |
2014年 | IRONMAN70.3 Taiwan 完走 |
IRONMAN70.3 Japan 完走 | |
2013年 | 第15回宮崎シーガイアトライアスロン大会(デビュー戦) |