平柳美月

生活を変えるためにフルマラソンに挑戦

― トライアスロンを始めたきっかけを教えてください

トライアスロンを始めたのは2018年8月からで、実はまだ経験が浅いんです。マラソンを走り始めてからトライアスロンという競技を知って、『とてつもなく長い距離を泳ぎ、自転車を漕ぎ、そして最後は自分の脚で走るというのはどんな感じなんだろう?』と、考えるだけでワクワクして興味が沸いてきました。すごく単純なんですが、『やってみたい!』そう思ったのが最初のきっかけですね。私自身、“新しいこと”や“困難なこと”に挑戦することをライフワークにしてまして(笑)。
中学、高校とソフトボールをやっていて、高校時代には全国優勝も経験しました。特に高校の3年間は部活と勉強だけで毎日が過ぎ去っていきました。当時の想い出は?と聞かれても、“ソフトボールと勉強”としか答えられないぐらい。そんな高校生活でしたね。大学ではソフトボールはやらずに、いわゆる普通の“キャンパスライフ”を過ごし、そして就職し社会人となったのですが、このままでいいのかなとだんだん疑問を持つようになりました。心の中にぽっかりと穴が空いた感覚でした。高校生のときは毎日が全力。一日一日がとても充実していたのに、社会人になってからは余力を残して生活しているような気がしていたんです。それで社会人3年目、いつか挑戦してみたいと思っていたフルマラソンに思い切ってエントリーしました。2017年ですので、3年前ですね。初めて走ったフルマラソン、完走できたのがすごく嬉しかったんです。同時に、『挑戦さえすれば、自分にはできることがたくさんある。そして、それが楽しい!』そう気づいたんです。そこからは毎月フルマラソンを走りました。トライアスロンに興味を持ったのは、そんな時でした。

何もわからないままトライアスロンの世界に

― すぐにトライアスロンのトレーニングを始められたのですか?

やるとは決めたものの、“何が必要なのか?”“何から始めたらいいのか?”さえもわからない状態だったので、まずは人に会うたびに『私、トライアスロンをやりたいんです!』と話をして、詳しい人を探すことにしました。すると、『近いうちにトライアスロン仲間との飲み会があるから参加する?』と誘ってくれる方が現れたんです。救世主現る!って感じでした(笑)。その飲み会で、世田谷のトライアスロンショップ『tetto』 * の店長さんと出会いました。『tetto』の店長さんは私のトライアスロンライフの礎を築いてくれた方で、よく知らない私にトライアスロン仲間を紹介してくださったり、自転車の基礎講座やオープンウォータースイムにも誘ってくださいました。
そして、何もわからない状態で参加した飲み会から2か月後、私はデビュー戦となる木更津のトライアスロン大会 * のスタートラインに立っていました。実は、自転車も持っていないのに、その飲み会でエントリーしちゃったんです。“ノリと勢い”だけで(笑)。ちなみに、バイクは友人からお古のロードバイクをもらいました。でも、もらったのが大会のわずか3週間前で、しかも、あとで気づいたんですが、サイズが合っていないという始末・・・。
私のトライアスロンライフは、こんな感じで“ノリと勢い”で始まりました。でも、あの飲み会で思い切ってエントリーをしてよかったと思っています。エントリーをしなければ始まりませんし、明確な期限があれば『やらなきゃ』と思いますからね。トライアスロンを実際に始めてみると、とても面白くて、ロードバイクも『こんなに早く走れるのか!』と感激したのを覚えています。海で泳ぐのも最初は怖かったですが、今では『オープンウォーター最高!』って思いながら気持ちよく泳いでいます。
* トライアスロンショップ『tetto』(東急大井町線 上野毛駅 徒歩1分)
* 木更津トライアスロン

初レースで『負けたくない』と表彰台に

― 初出場の大会で表彰台に上がったと伺いました

デビュー戦はもちろん完走が目標でした。ロードバイクに乗る練習も数回しかできませんでしたし、そもそもトライアスロンを始めて2ヶ月も経っていなかったので。でも、レース直前にトライアスロン仲間から『表彰台に上がれるんじゃない?』と煽られるように言われ、単純な私は恐れ多くも頭の片隅に表彰台を意識してスタートしました。
ところが、スイムスタート直後に脚がつるというアクシデントが発生。しかも両脚。正直このときは一瞬リタイアも頭をよぎりましたが、一方で『負けたくない』という思いの方が強くて、結局脚がつった状態で泳ぎ続けました。なんとか1,500mを泳ぎきり、陸に上がって重力を感じたときは本当にホッとしました。そこからは、とにかくがむしゃら。慣れないロードバイクを全力で漕ぎ、最後のランにいたっては、気持ち的には10kmの長距離ダッシュ。スイムの出遅れを挽回するためにただただ必死でしたね。『表彰台に上がれるんじゃない?』という言葉も思い出しながら、ひたすらゴールを目指して頑張りました。その結果、なんと年代別2位で表彰台に上がることができたんです。とても嬉しかったですね。それと同時に、同年代の人が少ないということに気付いて、それ以降は常に表彰台を意識してトレーニングするようになりました。ちなみに、このデビュー戦を含めこれまで走ったレースはすべて表彰台に上がってるんですよ(笑)。

仕事もトレーニングも一生懸命

― 仕事とトレーニングのバランスを教えてください

普段は団体職員として医療関係の仕事をしています。シフト制勤務で、勤務時間帯や休日が不規則なので、トレーニングは仕事のシフトに合わせて行っています。例えば、出勤時間が遅い日は出勤前の午前中にトレーニングを行い、逆に出勤時間が早い日は仕事が終わった後、夕方から行います。今は、時間を有効に使えていると思いますが、最初の頃は仕事をしながらトレーニングをするというリズムがうまく作れず試行錯誤を繰り返しました。マラソンをやっていたこともあって、平日のラントレーニングは習慣化できていましたが、スイムとバイクは休日にしかできていませんでした。去年、トライアスロンを本格的にやると決め世界選手権 * に出場することを目標にしてからは、現状では練習量が圧倒的に足りない。スイムとバイクをもっと練習しなければと考え、スケジュールをパズルのように組み合わせて、平日も仕事の前や後にプールへ行ったり、バイクは室内でのローラートレーニングを導入したりして、自分なりに工夫しています。
私はひとつのことを頑張り過ぎてしまう癖があります。トライアスロンだけの生活だと身体が壊れるまでトレーニングをしてしまうような性格なので、仕事と両立しながら限られた時間の中で一生懸命トレーニングするほうが体と心のバランスがとれる気がします。今の仕事そのものも好きなので、仕事もトレーニング同様に常に全力です。
* Ironman World Championship (Swim:3.8km,Bike:180km,Run:42km)

誰かのチャレンジを後押しできる存在になりたい

― SNSを通じて積極的に情報発信をされているようですね

2014年頃、大学生のときにサロンモデルをやっていたということもあり、そのPR媒体としてInstagram * を始めました。これまではヘアスタイルやメイク、ファッションなどを中心に投稿してきましたが、トライアスロンを始め、特に世界選手権を目標にしてからはトレーニングに関する投稿も増えました。それでファッションなどに関する情報を目当てにフォローしてくれていた方の一部は離れていきましたが、私自身がスポーツを取り入れた前向きなライフスタイルについても発信したかったですし、私のInstagramを見てくれる方々にとって新しい価値ある発信をしたいという思いから意図的に方向性を変えた部分もあります。
私はアカウントを分けるほど器用でもないですし、それにトライアスリートだからといってファッションや美容を捨てた訳ではありません。トライアスリートとして世界選手権へ向けてストイックにトレーニングし、また同時に趣味でもあるお洒落や女性らしい楽しみも大切にしたい。そんなライフスタイルに共感いただけて私のようにマラソンやトライアスロンなどを始める人が増えたら嬉しいですね。
* https://www.instagram.com/__hirame/

― SNSを通して伝えたいメッセージは?

昨年の2020年10月に開催されたIronman70.3 Centrairで年代別1位となり世界への挑戦権を獲得できたのですが、そのことをInstagramで発信したところ、『市民ランナーに夢を与えてくれてありがとう!』『勇気をもらいました。私も頑張ります!』など前向きなコメントをたくさんいただきました。それで気付いたんです。フルタイムワ-カーで、しかもトライアスロンの競技経験も浅い私が頑張ることで、誰かのチャレンジを後押しできるかもしれないということを。そして、それが私の強みなのかもしれないということも。もちろん、すべての夢が実現するわけではありませんが、どんな状況でも「やりたい」という気持ちさえあれば夢は叶えられる可能性があるということを、私は自分自身の行動で示していければと思っています。

― トレーニングを続けるコツはありますか?

自分の身体や心と向き合うことを大切にしていますね。特にトレーニングに乗り気がしないときは、それが“身体的疲労のサインなのか?”それとも“単に気持ちが後ろ向きになっているだけなのか?”自分自身と対話しながら見極めています。身体が疲れた状態でトレーニングを重ねると怪我に繋がりますし、そもそもトレーニング効率が悪くなってしまいますので、そのような場合は疲労回復のためにトレーニングはお休みにします。一方で、気持ちが後ろ向きになっているだけのときは『1キロだけでも』と思って走り出すと、だんだん乗ってきて結局10キロくらい走れることも。私自身の身体や心の状態は私にしかわかりませんから、自分自身と向き合うことはトレーニングを継続していくうえで大事なことのひとつですね。
また、日々のトレーニング内容をInstagramで発信するようにしています。Instagramで発信するには、トレーニングメニューを見直したり、体調の良し悪しやペースなどもまとめなければなりません。その作業がトレーニングの振り返りにもなりますし、そもそもInstagramを通して多くの方から見られているという意識がトレーニングを行うモチベーションにもなっていますね。

苦しみの先には大きな感動が

― トライアスロンの魅力や、やっていて良かったと感じることは?

やればやった分だけ自分自身の成長を実感できるところがやっていて楽しいですね。練習中は楽しい事ばかりではなく、辛く苦しい場面もありますが、『昨日より今日、今日より明日』と日々成長を実感することがモチベーションに繋がっています。また、トレーニング時間は自分と向き合う時間でもあり、トライアスロンを始める前より自分自身を理解できるようになったことも、やっていて良かったことのひとつです。辛い練習に耐えるひたむきさや、成果に対する貪欲さなど改めて自分を知ることができたり、自分でも知らない新たな一面に気付かされたりと、「私って面白いな」と思えるようになりました。
そして何より仲間がたくさんできたことですね。それと同時に、ありがたいことにサポートしてくださる方も増えました。トライアスロンを始めたことで出会えた仲間や応援してくださる方々の存在が日々私を励まし背中を押してくれています。
もちろん、レースも楽しくて仕方がありません。最近では、楽しいと同時に感動が押し寄せてくることも。先日のレースでは、スタートラインに立ったときに『ここに向けて練習してきたんだな』『こういう場がもらえて嬉しいな』という思いがこみ上げてきて、スタートする前に既に感動して涙が溢れてきちゃいました。そう思えるのは、レースに至る過程を大事にしているからなのかもしれません。

女性としての生き方も大事にします

― 将来的なライフプランは?

女性としてのライフステージも大切にしながらトライアスロンと向き合っていきたいと思っています。将来的には結婚や出産で、一時的にトライアスロンから離れる日がくるかもしれませんが、生活環境が変わったとしても、私は体を動かすことは続けていきたいと思っています。もし子どもを出産したら、何歳になるかわかりませんが、トライアスロンにも再度チャレンジしたいですね。現在活躍している女性トライアスリートの中には、出産して数か月後には世界選手権への出場権を獲得してしまう猛者もいらっしゃいます。そうした姿は、女性としてもアスリートとしても憧れますし、目標になりますね。女性としての生き方を大事にしながら、トライアスロンなどのチャレンジも続けていく。そんなライフスタイルが私の理想です。

【商品Pick up】UTA SUPLIを飲みはじめて―

仕事とトレーニングの両立を続けるには、毎日の疲労マネジメントが重要だと思っています。というのも、トレーニング量が増えてくると、トレーニング翌日まで疲労感が残り、仕事へ行くのが億劫と感じてしまいますから。でも、UTA SUPLIを毎晩続けて飲むようになってからは疲労感を感じることが少なくなりました。また、UTA SUPLIのおかげなのか、お酒を飲み過ぎたときも二日酔いになりづらくなりました。 なにより、UTA SUPLIは乾燥ナマコ100%の天然成分サプリメントですので、女性でも安心して継続摂取できるのが嬉しいですね。チャレンジを続ける多くの女性にオススメしたいアイテムです。

平柳美月

私のタイムスケジュール

スケジュール

私の記録

2020年 IRONMAN70.3 Japan 女子25-29 第1位
2019年 九十九里トライアスロン ミドルディスタンス 女子総合優勝
木更津トライアスロン 女子25-29 第1位
NISSAN CUP 神奈川トライアスロン大会 女子総合第2位
2018年 木更津トライアスロン 女子25-29 第2位